約1年半にわたるキャンペーンの結果、2012年1月31日、Ahavaは日本から撤退しました。キャンペーンへのご協力、ありがとうございました。
パレスチナ西岸地区のイスラエル入植地で生産されている「アハバ・ブランド」化粧品の、日本における総代理店であったダイトクレア社は、2012年1月31日、同ブランド商品の取扱終了をウェブ上で正式に発表しました。
私達「パレスチナの平和を考える会」は、2010年より、「不正な商品では美しくなれない」というスローガンのもと、パレスチナ占領に加担するアハバ(AHAVA)商品に対するボイコット・キャンペーンを行ってきました。これは、アメリカの女性平和団体コードピンクを中心とした「Stolen Beauty」キャンペーンと連携した、国際的キャンペーンでもありました。
今回のダイトクレア社の決定は、多くの市民・団体の参加協力の下、当会が行ってきたウェブ上での呼びかけや、メッセージ・カード・キャンペーン等を通じ、アハバ商品の売買が戦争犯罪への加担であることが広く周知されるようになったことの結果であると言えます。また、財務省・消費者庁等関係省庁やダイトクレア社とも直接協議し、同商品の違法性について粘り強く説明してきたことも今回の結果につながったものと考えます。
このことは、2010年の「STOP無印良品キャンペーン」の成功に続く、日本における国際的な対イスラエルBDS(ボイコット・資本引揚げ・経済制裁)キャンペーンの勝利だということができます(参考サイト:STOP無印良品キャンペーン)。ダイトクレア社は、アハバ商品の取扱を始めるに際し、その商品が国際法上問題を抱えていることを知らなかったということですが、問題を把握した後、潔く撤退を決定された企業倫理に対し、心から敬意を表したいと思います。
しかしながら、アハバ商品の製造販売元「Dead Sea Laboratories」は今も営業しており、西岸地区ヨルダン渓谷、死海沿岸に位置するミツペ・シャリーム入植地にある工場も操業し続けています。ヨルダン渓谷で現在も進行しているパレスチナ人に対する集中的な民族浄化政策にアハバは関わっているのです。今後、アハバ商品を扱う新たな企業が現れる可能性は十分にあります。万が一、そうした業者を発見された方は、当会まで通報頂くよう、よろしくお願いします。
アハバの日本撤退は、近年急速に進みつつある日本・イスラエル間のきな臭い交流の中で遂げられた小さな勝利に過ぎません。昨年3月の東北大震災に際しては、イスラエル軍が南三陸町で約2週間、形だけの医療活動を行いました。7月には、イスラエル初の日系小売店として、ハローキティ・ストアがテルアヴィヴ近郊にオープンしました(参考サイト:バイバイ・キティ・キャンペーン)。9月には、クラシック社(東京)という切花輸入会社が、ヨルダン渓谷の入植地で生産された農産物を扱うイスラエル企業と提携関係にあることが明らかになりました(参考サイト:入植地ビジネスを支え続けるクラシック社に引き続き抗議の声を!)。さらに10月には、「ソーダストリーム」という家庭用の炭酸飲料製造機の国内販売が開始されていますが、これは、ミショール・アドミームという東エルサレムの入植地内で生産されたもので、シナジートレーディング社(大阪)が総輸入元となっています。今年12月には、演出家の蜷川幸雄が日・イ両政府の協力の下、テルアビブと東京でギリシャ悲劇「トロイアの女たち」を上演する予定になっています(参考サイト:対イスラエル文化ボイコットはなぜ必要か? アパルトヘイト国家に利用される「蜷川ブランド」)。
こうした動きのすべては、イスラエルのアパルトヘイト犯罪の容認・黙認と表裏一体のかたちで進められています。3年前のガザ虐殺に対するイスラエルの責任は未だに問われることなく、西岸地区における家屋破壊・入植地建設は急ピッチで進められています。違法な行政拘禁に抗議し、ハンガーストライキを闘っている瀕死のハデル・アドナーン氏に対し、イスラエル当局は虐待で応じています(参考サイト:パレスチナ・ヨルダン渓谷連帯委員会、アムネスティ日本:ハンストでひん死のパレスチナ人、今なお拘禁中)。
今こそ、市民の行動によって、国際人権法・国際人道法の理念を活かすことが求められています。一人ひとりが、それぞれの生活の場の中で、国際的なBDSキャンペーンに参与することによって、パレスチナ人に対する人権侵害と略奪、虐殺行為を止めさせましょう!
2012年2月20日
パレスチナの平和を考える会
以下は、活動の記録としてご理解下さい。
みなさんはAhava(アハバ)をご存知ですか? スキンケア化粧品を中心としたイスラエル企業のブランドです。Ahava社の製品は、ミツペ・シャリム(Mitzpe Shalem)というパレスチナ被占領地内のイスラエル入植地で生産され、死海から採取されるミネラル成分を利用していることを謳い文句に、欧米諸国をはじめ多くの国に輸出され販売されています。そしてこの日本にもAhava製品は存在しています!
ご存知のように、パレスチナ被占領地における入植活動は、ジュネーブ第4条約などの国際法により明確に禁止されています。また、Ahavaのコスメティック製品で利用されている死海の天然資源は、本当はパレスチナ人にこそ採取の権利が認められるものです。つまりAhavaは、パレスチナ人の資源を「略奪」して利潤を得ているのです。パレスチナの人々の権利と尊厳を踏みにじり、不正に不正を重ねた商品がAhavaなのです。
こんな不正な化粧品で、一体だれが美しくなれるというのでしょう?
Ahava製品には「原産国イスラエル」との表示がありますが、Ahava商品が生産されている入植地はパレスチナ人の土地であり、イスラエルではありません。 このことは関税法第71条(原産地を偽った表示等がされている貨物の輸入)および不当景品類及び不当表示防止法第4条第1項第3号(商品の原産国に関する不当な表示)といった日本の国内法にも違反しています。
2010年5月に当会が日本政府外務省と行った協議では、「イスラエル入植地は、国際法上違法であり、イスラエル領でないことは明白である」「入植地産のものが、イスラエル産と表示されているのであれば、正確な表示とは言えない」ことが確認され、違法入植地産製品の取り扱いについて法的に検討中であることを明らかにしました。
また、Ahava製品の原産国表示問題は、ヨーロッパでも大きな問題となっています。入植地産製品が、EUとイスラエルの間で結ばれている経済協定により、イスラエル製品として関税控除の対象とされていることが明らかになったからです。
2009年12月には、イギリス政府が、国内のスーパーマーケットに対し、イスラエル入植地産の商品については、入植地産であることが分かる表示をするよう勧告しました。そして、2010年2月には、ヨーロッパ司法裁判所が、入植地はイスラエル領ではなく、したがって関税控除の対象とはならないとの判決を下しています。
ミツペ・シャリーム入植地にあるAhavaの工場兼ヴィジターズ・センター。背景は死海
「パレスチナの平和を考える会」はこれまでも、日本でのAhava製品の輸入販売代理店である株式会社ダイトクレア(代表取締役:木原実)に抗議と販売中止の要請を行ってきました。しかし、いまだに同社から誠実な対応をいただいていません。そこで、Ahava製品を販売している小売店を対象に、Ahava製品取り扱い停止要請キャンペーンを開始したいと思います。
当会では、Ahava販売店に対する啓発用メッセージカードを作成しましたので、ぜひご活用いただければと思います。画像ファイルをダウンロードをした後、はがき用紙等に印刷して活用していただければと思います。
印刷用メッセージカード画像 ダウンロード(700KB)
また、印刷済みのポストカードのストックもありますので、送料・印刷費等実費として、10枚まで100円、11〜20枚で200円、‥‥、91〜100枚で1000円、‥‥というかたちで、お分けしたいと思います。お名前、送付先住所、電話番号、希望枚数をメール・ファックス等でお伝えいただければ、振込み用紙と一緒にカードを送らせていただきます。平和問題に取り組む市民団体・労働組合・宗教団体などでも、ぜひキャンペーンへの参加・メッセージカードの配布をご検討いただければと思います。
【メッセージカード注文先】
パレスチナの平和を考える会
Email: palestine.forum@gmail.com
Fax: 06-7777-4925
Tel: 06-7777-4935
下記の販売店に対し、Ahava製品の取り扱い停止を要請するメッセージを添えてカードを送ってください。あるいは、店舗に直接訪問し、店の責任者にポストカードを渡して、Ahava製品の違法性を訴えてください。できれば、行動後、メッセージカードを利用したみなさんの活動を当会に報告してください。会報やウェブサイトで紹介したいと思います。
※メッセージカードは一つの手段に過ぎません。独自に、手紙や電話、ファックスなどで、商品の撤去を要請していただいても構いません。
※この取り組みは、違法なAhava製品の日本での取扱いと販売を完全に停止させるまで継続されます。
キャンペーン終了につき削除しました。
約1年半にわたるキャンペーンの結果、2012年1月31日、Ahavaは日本から撤退しました。
キャンペーンへのご協力、ありがとうございました。このページは、活動の記録としてご理解下さい。
アメリカの女性反戦グループ「コードピンク」のAhava製品販売店前での抗議行動
(2009年7月、ワシントンDC)