【お知らせ】

2017年6月6日
【緊急院内集会】国会承認直前!日本・イスラエル投資協定のここが問題!を開催しました。→動画:IWJ
2017年4月5日
イスラエル入植地問題に関わる「日・イスラエル投資協定」の問題点に関する請願書を提出し、参議院議員会館にて記者会見を行いました。→動画:IWJ

2017年2月1日、「日・イスラエル投資協定」が署名されました。

投資協定発効のためには衆議院外務委員会と参議院外交防衛委員会での承認が必要とされます。

「日・イスラエル投資協定」=「投資の自由化,促進及び保護に関する日本国とイスラエル国との間の協定」。
参照サイト: 外務省:日・イスラエル投資協定の署名

(写真:外務省

承認する前にしっかりと議論を

周知の通り、イスラエルはパレスチナの占領国であり、イスラエル経済と占領地における人権侵害は密接につながっています。したがって、イスラエルとの安易な経済関係強化は、パレスチナにおける深刻な人権侵害や戦争犯罪に日本企業が巻き込まれ、あるいはそれらに加担する可能性を増大させるものです。日本企業がイスラエルの戦争・占領ビジネスにかかわる法的・倫理的リスクを負わないためにはどうすればよいのか、投資協定を承認する前にしっかりと議論しなければいけません。

また、日本は、パレスチナ/イスラエル問題の二国家解決を前提として17億ドルにも上る対パレスチナ援助をしてきました。

外務省は、過去6年間で34回にわたり、イスラエルの入植政策を批判する談話も発表しています。

しかし、イスラエルは入植活動を加速することでパレスチナ独立が実質的に不可能な状況を作ろうとしており、そのことについて現政権はまったく無策であると言わざるを得ません。

これまでの日本のODA(政府開発援助)や中東外交を無意味なものとしないためにも、投資協定を承認する前にしっかりと議論すべきです。

拙速な承認をしないよう議員への働きかけを

関係議員一覧

問題点1
日・イスラエル投資協定は、イスラエルの領域を明確にしていません。

日本は、昨年12月、イスラエル入植地の建設を国際法違反とし、入植活動の即時・完全中止を求める国連安保理決議(S/RES/2334)に賛成票を投じ、この決議はアメリカの拒否権を受けることなく採択されました。この決議は、イスラエル領と1967年以降の占領地とを区別して扱うことを全ての国に要請しています。

しかし、日・イスラエル投資協定におけるイスラエルの「領域」の定義は、パレスチナ西岸地区におけるイスラエルの入植地(工業団地を含む)を明確に排除した表現になっていません。

投資協定を発効させる前に、投資の対象となるイスラエルの「領域」にイスラエル入植地が含まれないことを明確にすべきです。

【資料】国連人権理事会におけるイスラエル入植地ビジネスをめぐる最近の動き

問題点2
日・イスラエル投資協定の対象から入植地ビジネスを排除する仕組みが必要です。

国連人権理事会が2013年に公表した入植地の影響に関する報告書(A/HRC/22/63)では「入植地から得られる企業利益の終結」が求められており、対象となる入植地ビジネスの内容が具体的に列挙されています。現在、この報告書にもとづき、同理事会では入植地ビジネスに関与している企業のリスト化が進められています。

投資協定を発効させる前に、人権理事会が指摘する入植地ビジネスが投資協定の対象とならないようにする仕組みを整備すべきです。

例えば、日本とイスラエルの無人機共同開発に関する報道で名前の挙がっているエルビット・システムズ社は、西岸地区の隔離壁のセキュリティシステムを供給していますが、これは上記報告書第96項の中の「入植地と「壁」、入植地に直結した検問所に対する監視・認証装置の供給」に明確に該当します。

問題点3
日本政府は、入植地ビジネスのリスクを自国企業に周知しなければなりません。

イスラエルが入植地拡大を推進し続け、二国家解決に基づく中東和平の可能性を掘り崩し続けていることに対し、EUや国連では、入植地関連事業への助成金等の規制や、入植地ビジネスに対する諸制限というかたちで対策を強化してきています。2014年3月には国連人権理事会で、入植地ビジネスに関わる風評上のリスクや法的リスク、権利侵害の可能性について、政府が企業や個人に情報提供を行うことを求める決議(A/HRC/RES/25/28)が採決され、日本も賛成票を投じました。

投資協定を発効させる前に、この決議の内容を履行することが必要です。

なお、EUでは17か国以上が入植地ビジネスのリスクについての警告を公にしています。

問題点4
イスラエルのセキュリティ・ビジネス業界に固有の法的・倫理的リスクへの考慮が必要です。

投資協定の主要な対象であるイスラエルのセキュリティ・ビジネスの多くはイスラエル軍のサイバー部隊の退役軍人によって立ち上げられており、そこではパレスチナ占領政策の中で培った経験・技術が商品化されています。内戦中の南スーダンでは、イスラエル製の盗聴システムが、ライフル銃等とともに南スーダン政府に販売され、人権弾圧に用いられていることが国連の報告書で指摘されています。

投資協定を発効させる前に、日本の資本・技術が、イスラエルのセキュリティ企業や軍需企業を通じて、被占領パレスチナ領や他の紛争地における非人道的な諜報活動や人権侵害に利用されないようにするための対策が不可欠です。