2017年12月15日
去る12月6日、トランプ米大統領は、エルサレムをイスラエルの首都と認定しました。これは、この地域における、大国による民族・宗派対立煽動の歴史に新たな1ページを付け加える愚行です。草の根の市民交流を通じ、公正な平和の実現に向けた努力を行ってきた市民団体として、決して看過できるものではありません。
一連の報道は、イスラエルが東エルサレムを含めたパレスチナ被占領地で行っている、民族浄化およびアパルトヘイト政策に、ほとんど触れていません。イスラエルは東エルサレムに暮らすパレスチナ人を他の西岸地区から分断し、その資源を奪い、人口を減らすために隔離壁と入植地の建設を継続し、居住権(東エルサレムID)剥奪、家屋破壊、強制移住等の人権侵害を続けています。
こうした長年にわたるパレスチナ人抹殺政策を、米国とそれに追随する日本をはじめとする国際社会が黙認してきたことが、パレスチナにおける公正な平和の可能性を潰し、現在の行き詰まり状況を招いていることをまず認識すべきです。トランプ大統領によるエルサレムの首都認定は、アメリカが主導してきた「和平プロセス」の破綻を隠蔽し、また決定づけるものです。
言うまでもなく、エルサレムは、歴史的パレスチナの一部であり、パレスチナ難民を含む、そこに暮らしてきた人びと――イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒――のものです。入植者に彼らの土地・財産を奪う権利はありません。難民の財産および帰還権は、1948年の国連総会決議によって保障されています。また、イスラエルの入植地と隔離壁が違法であり、撤去されなければならないことは、2004年の国際司法裁判所による勧告的意見等によりすでに明確にされています。
占領者であるイスラエルに占領地エルサレムを首都とする権限がないことは、国際法上明らかなことです。イスラエル建国時に占領している西エルサレムであれば(1967年に占領した東エルサレムとは異なり)、大使館の移動等は問題ないとする意見も当然誤りです。イスラエルが自身の建国の正統性の根拠とする1947年の国連パレスチナ分割決議でさえ、エルサレムは「国際管理」下に置くとしています。また、エルサレムを「統一されたイスラエルの首都」とした1980年のエルサレム法に対し、国連安全保障理事会は「無効であり、撤回されなければならない」と決議しています。
今、必要なことは、パレスチナ人に妥協を強いる「和平交渉」の継続ではなく、イスラエルの犯罪行為を止めるための具体的圧力です。私たちは、イスラエルが占領の終結、人種差別法・制度の撤廃、難民の帰還権承認という、国際法上の義務を果たすまで、日本の政府・企業・市民に対し、イスラエルに対するボイコット・資本引揚げ・制裁を行うことを、パレスチナの市民社会と共に要請します。それは、具体的には以下の諸点を含みます。
2017年12月15日
ATTAC関西
アハリー・アラブ病院を支援する会
関西共同行動
占領に反対する芸術家たち/Artists Against Occupation
アル・ジスル-日本とパレスチナを結ぶ(略称JSR)
パレスチナと仙台を結ぶ会
パレスチナの平和を考える会
パレスチナ勉強会・大阪
フェミニズムとレズビアン・アートの会
広島中東ネットワーク有志
武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)
フツーのLGBTをクィアする
北海道パレスチナ医療奉仕団
京都YWCA平和・環境活動委員会(※12月18日に追加)
イベントのお知らせ
2017年12月16日(土)大阪
封鎖下ガザから考える中東情勢 徹底討論!藤原亮司×イヤス・サリム