2017年5月2日
公益財団法人 日本サッカー協会会長
田嶋幸三 様
貴職におかれましては日々ご健勝のことと存じ申し上げます。
私たちは、中東における平和に関心を寄せる市民団体として、来る5月11日に開催される国際サッカー連盟(FIFA)総会で議論される予定である、イスラエル入植地のサッカーチームの処遇問題に深い関心を寄せています。というのも、昨年12月の国連安保理決議や外務省の度重なる談話が明確にしている通り、ヨルダン川西岸地区などにおけるイスラエル入植地の建設は深刻な国際法違反であり、公正な紛争解決を阻害するものだからです。
過去半世紀にわたり、パレスチナ人は、イスラエル入植地によって生活の基盤である土地を奪われ、パレスチナ人のサッカー選手たちは、イスラエル軍や入植者によって、直接的な暴力や練習・試合への参加妨害等の人権侵害・ハラスメントにさらされてきました。イスラエル入植地のサッカーチームが練習や試合で利用するサッカー場はパレスチナ人から奪った土地の上に建設されているにも関わらず、パレスチナ人が利用することはできません。
FIFAがイスラエル入植地のチームを容認することは、人権尊重と差別禁止を定めたFIFA規定第3条・4条、他国領土で了解を得ることなく試合を行うことを禁じた同第72条第2項に明確に反しています。
先月には、28か国100団体以上のスポーツ組織や人権NGO、ユダヤ人の平和グループ等がFIFA宛に公開書簡を送付し、イスラエルサッカー協会に対し入植地チームを除名するよう要請し、従わない場合はFIFA加盟資格を停止することを求めています。
イスラエルのハアレツ紙(4月20日付)は、イスラエル外務省が各国のイスラエル大使館に対して、FIFA総会で入植地チームの問題を議題としないよう各FIFA加盟団体への働きかけを要請した電信をリークしています。私たちは、日本サッカー協会が、こうしたイスラエル政府やその関連組織による政治的圧力に屈することなく、国際的人権基準およびFIFA規定に従い、公正な判断を取られることを謹んで要請させていただきます。
奇しくも、4月20日、ガンバ大阪は、試合中にナチス親衛隊を想起させる旗が掲げられたことに対し「公序良俗に反する」として厳しく批判されました。私たちは、貴協会傘下のチームが人種差別思想に反対する姿勢を明確にされていることを歓迎するとともに、同様の倫理的・法的厳格さをもって、田嶋会長がFIFA理事としてFIFA理事会および総会において、違法なイスラエル入植地におけるサッカーチームをFIFAが容認することのないよう、尽力されることを心よりお願いする次第です。
アハリーアラブ病院を支援する会
アル・ジスル-日本とパレスチナを結ぶ(略称JSR)
占領に反対する芸術家たち
パレスチナと仙台を結ぶ会
パレスチナの平和を考える会
武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)
RAWAと連帯する会