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開戦8日目
2009年1月3日(土)


親愛なる友人たちへ

今日でガザに戦争が起きて8日、爆弾もミサイルも未だに弱まることがない。今日、土曜日にはイスラエルはガザ地区全域にさらに激しい爆撃を行った。42kmに渡るガザの海岸線は戦艦と戦闘機によってこれまでで最も激しい攻撃に見舞われた。何か、わたしたちがかつて見たこともないことが起きている。私の部屋の窓からは、巨大な船がガザの街の沿岸に陣取って、澄んだ、青い地中海の水面から砲撃を行っているのが見えた。この2日間、水は冷たいが晴天が続いている。時折、一斉砲撃によってガザ海岸の北側、ガザの街中、中央、南側のあちこちが砲撃を受けた。激しい砲撃は貧弱なガザの漁港に大規模火災を引き起こし、そこにあった多くの漁船や燃料倉庫を燃やした。イスラエルの戦闘機もまた港の入り口を爆撃して、消防車は燃えている船を消し止めに行くことができなかった。ミサイルの1つは、漁港からほんの数十メートルしか離れていない民間防衛隊の事務所に直撃した。これら全ての暴力劇は地元のラジオ局から毎分流れ、漁民は助けを求めて、消防隊に港へ行ってくれと懇願して叫んでいた。民間防衛隊の隊員の1人は、彼の事務所が2、3発のミサイルにやられ、港とその入り口が爆撃を受け続けているために港そのものが非常に危険で中に入ることができないと伝えた。

 今日、土曜日の早朝からは、F16が少しの間も止むことなくガザの街の郊外と、ガザ市内の標的を攻撃し続けた。まったく、いつまで終わりなくこの爆撃作戦が続くのかと目を見張るばかりだ。F16、武装ヘリコプター、無人戦闘機、戦艦、小型砲艦と、あらゆる種類の兵器が今日ガザ地区を攻撃している。メディアは、1発のミサイルが礼拝中のモスクに着弾したとだけ伝えている。が、その結果としてガザ北部のベイト・ラヒーアのモスクで10人が殺され、50人が負傷したのだ。

 私たちの予想では、イスラエルは地上戦の準備のために集中爆撃を行っているのだろう。数時間後には地上部隊がガザを取り囲み、交戦するか、或いはレジスタンスの即応力を試すのだろう。これまでのところ、レジスタンスは空爆によるダメージをほとんど受けていない。だからだろう、今日の重爆撃はイスラエルの地上部隊が進軍すると思われる区域に集中していた。郊外に住んでいる人々は今日、血を流し、物資を失い、多大な犠牲を払ったのだ。特にガザ市の東、北、南部にあるオレンジとオリーブの大規模農家は、重爆撃によって壊滅的なダメージを受けたと語った。

 それにまた、この24時間、ジェット戦闘機が既に機能不全に陥ったガザ国際空港に猛攻撃を加えていた。ラファからのレポートによれば、イスラエルのジェット機は、ガザ唯一の空港を完全に破壊するまでミサイルや砲弾による爆撃を続けていたとのことだ。過去にも第2次インティファーダの間、特に2003年にイスラエルの戦車が空港の一部を破壊したことがあったが、今日、彼らは空港を消し去ったのだ。

 人道的状況はこの上なく悪い。今この瞬間にも基礎的生活必需品がすぐに必要となっている。パン屋の外にはそれぞれ1袋のパンを買おうとする人々の長蛇の列が並んでいる。停電は状況を一層悪化させている。郊外の農家が生産物を街や市場に持ち込むのも命懸けで、食料と野菜は深刻に不足している。

 病院も医薬品不足にずっと苦しんでいる。事実上の政府の保健相は報道各社に対して発信し、アラブ諸国政府に専門外科医を派遣するようアピールを行った。同相は、(空爆が始まって)最初の2,3時間以内に負傷した人々の命を救うには、今が峠だと話した。地元のパレスチナ人医師たちは過労で疲弊しきっている。シーファ病院には多数のエジプト人外科医とともに、1名のノルウェー人外科医が、今はボランティアとして従事している。

 人道危機は非常に深刻だ。多くの人々が、人道支援トラックがもっと速やかにガザに入れるように祈っている。私が見聞きして友人から聞いたところでは、特に調理用ガスや小麦粉、主食品といった基礎生活用品が消え去っていくにつれて、人々がとても不安になってきている。けれど、地元のスーパーマーケットが通常通りに営業しているのでパニックは起きていない。それに、人々が驚くほど団結していて、互いに助け合っているのだ。

 地上攻撃が始まり戦闘が激化すれば、人道危機は一層悪化するだろう。この戦争は刻一刻と厳しさを増しており、地上戦が開始されればさらに過酷な状態になるだろう。外側にいる多くの人たちには、このレジスタンスに関わっている者たちの心情など分かりはしない。戦闘員や軍人は、これが彼らの命を懸けた戦いなのだと知っている。彼らにとってはこれが初めてではないのだ。彼らにはこの8年間イスラエル軍と闘ってきて、イスラエルをガザから撤退させたという自負がある。彼らには、自分たちが経験を積みイスラエル軍の長短所を知っているという思いがある。ここガザでは、戦士たちにとって前線で死んでいくことは黙って敗北を見るよりも受け入れ易いのだということを、住民たちが誰よりもよく知っている。彼らにとっては、敗北は単に殺されることを意味するものだ。そしてガザの人々にとって、包囲攻撃は彼らに「失うものは何もない」と感じさせるものなのだ。

 ガザの人々の願いは、外の世界の賢明な指導者が、罪のない人々を殺しているこの戦争を止めてくれることであり、包囲を終わらせ全ての国境を再開し、どの場所のどの人間とも同じように尊厳ある生を送ることができるよう要請してくれることである。

B・サーメド

ガザ、2009年1月3日
(翻訳:森田亜紀子)

→英語原文

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