前へ                 INDEX                 次へ 

パレスチナのメディアを黙らせる戦略      2002年1月22日(水)


パレスチナの施設やインフラに対するイスラエルの継続的で入念な攻撃の一環として、先週のラマッラーにおけるテレビ/ラジオ放送局の破壊は、パレスチナ人に大きな打撃を与えた。1月18日、イスラエルの戦車は、ラマッラーの町のエルサール地区にある、テレビ/ラジオ局が収まっている建物を包囲した。それから、イスラエル兵が建物に押し入り、各部屋にダイナマイトをセットした。ものの数分もしないうちに、建物全体が内側から破壊され、あとには使えなくなった機材やテープ類、スタジオ設備の瓦礫が山のように残された。パレスチナ・テレビ/ラジオのスタッフや従業員は、彼らのオフィスや機材が目の前で爆発するのを建物の外で見て立ちつくしていた。それは、多くの者にとって、心の痛む悲しい光景であった。開けっ広げに泣く者もいた。近代化されたこの時代になって、このような行為が行われたことが信じられないと、憤る者もいた。

イスラエルがパレスチナの放送施設を攻撃したのは、これが最初だとはいえない。ガザ地区では、現在のインティファーダが始まった頃、イスラエルのアパッチ・ヘリコプターが、ガザ市東部にある、アル・ムンタールと呼ばれる中継局を破壊した。その中継局は、テレビとラジオの国営番組を放送する際に、ガザ地区と西岸をつなぐ役割を果たしていた。アル・ムンタール局が破壊された数日後、再びアパッチヘリは、ガザ市の中心部の受信/中継局、アル・ザフェールにミサイルを数発撃ち込んだ。これら二つの中継局はガザ地区と西岸をつなぐ重要な架け橋であった。

ガザ出身のあるテレビ局の責任者は次のように言った。「これは、イスラエルによる明確な戦略です。テレビとラジオは、統治権の強力な象徴です。イスラエル政府は、将来のパレスチナ国家への、いかなる希望や象徴をも破壊しようとしているのです。」さらに彼は付け加えた。「彼らのやり方は大変挑発的です。彼らはラマッラーのテレビ局に、単にミサイルを撃ちこむのではなく、兵士を送り込んで、各部屋に導火線を引っ張り、ダイナマイトを爆発させたのです。これは非常につらく、屈辱的なことです。

別のパレスチナ人のテレビ・エンジニアは、「イスラエルがラマッラーのテレビ局を破壊したのは、パレスチナ人が非常に自制している時期だったんだ。我々は、3週間なにも事件を起こさなかった。それというのに、彼らが何をしたのか見てみろ。」と言った。

ガザのテレビ局の多くの従業員は将来への深い憂慮を訴えている。「私達のテレビ番組は大変強い圧力を受けています。」と、一人の従業員が言った。「イスラエルは事実を知らせないようにしようとしています。私達は、自分達自身の声を放送したことで、罰せられているのです。彼らは私達の側の視点で語られることを望んでいません。それは危険なことです。もし世界の人々が、イスラエルの側の視点からのみ、物事を考え始めるならば、それによって、さらなる混乱と衝突を招くでしょう。それは悲劇です。」と彼は付け加えた。もう一人の同僚のエンジニアは、「私達が今何を放送しているか見てくれ。昔のアニメ映画だ。この危機的なときには、もっと重要な番組を放送するべきなのに。でも、私達はイスラエルの報復を心配しなきゃならない。」と言った。

パレスチナテレビの多くのスタッフは、イスラエルは、国際社会に彼らの物の見方を売り込むことに成功したという点で意見が一致している。そのパレスチナ人スタッフの言い方によれば、「イスラエルのメディアは、彼らの物の見方のみを外の世界に伝えるための一つの戦略なのである。」

ある責任者は、「イスラエルのグローバルで強力なメディアの影響力に加えて、彼らの占領軍はパレスチナ人の声と、それを伝える手段を無理やり奪おうとしている」と言った。

ガザ市
2002年1月22日

B.サーメド


→英語原文












  前へ                 INDEX                 次へ