パレスチナの平和を考える会

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2019年10月6日

株式会社 日本経済新聞社
代表取締役社長 岡田直敏 様

日経新聞はイスラエル軍称揚イベントを中止してください!

私達は、中東における公正な平和の実現のために活動している市民グループです。来る10月17日、貴社がイスラエルのセキュリティ企業サイバーリーズン社の宣伝イベント「日経ビジネスイノベーションフォーラム:ポスト2020年を見据えたサイバーセキュリティーを考える~攻撃者優位のサイバー空間における、実践的な対策~」を行うことを知り、その趣旨および影響について深く憂慮しています。サイバーリーズン社はイスラエル軍諜報部隊Unit8200出身者によって創設されるなど、イスラエル軍との関係を深く持ち、そのことについて貴社は「サイバー攻撃の最前線で培った軍事レベルのテクノロジー」などと宣伝・称揚しています。これは、Unit8200がパレスチナ人に対して行っている深刻な人権侵害・犯罪行為(盗聴やハッキング等によるパレスチナ住民に対する無差別的な個人情報収集やスパイ工作)を隠蔽するものです。Unit8200の関与が深く疑われる国際的な犯罪行為としては、イラン核施設へのウィルス攻撃やトランプ大統領に対する電話盗聴などが報道されています。

さらに、アジア・アフリカ地域の諸国家における民衆抑圧にもイスラエルの軍事・セキュリティ企業が開発した武器や技術が用いられていることに国際的批判が集まっています。そうした中、日本では9月10日に防衛省とイスラエル国防省の間で「武器・技術に関する秘密情報保護の覚書」が調印されました。11月18日から幕張メッセで開催予定の武器見本市「DSEI JAPAN」には、イスラエルの軍需最大手3社(エルビット・システムズ、IAI、Rafael)がエントリーされています。イスラエルの軍事・セキュリティ企業が日本とイスラエルの防衛協力にどのようなかたちで関わっているのか、そのプロセスはますます密室化しつつあります。私たちは、イスラエルのセキュリティ技術が不透明なかたちで日本の政府や企業によって乱用され、市民社会に対する不当な監視や情報収集に用いられることについても憂慮しています。

また、サイバーリーズンに総計約400億円を出資する最大株主のソフトバンクは、イエメン民衆に対する戦争犯罪に手を染めるサウジアラビアとの資本提携を進めており、サウジ資本とイスラエルのセキュリティ企業をつなぐ役割をソフトバンクが果たしているとみることも可能です。アムネスティ等の人権団体は、サウジ政府がイスラエルのセキュリティ企業から購入したスパイソフトが人権活動家やジャーナリストの監視に用いられていることを指摘し、武器貿易条約の精神に反する動きとして批判しています。日本のメディアは、安倍政権の下で急速に日本の市場に浸透しつつあるイスラエルの軍事・セキュリティ企業のもつ人権上・国際法上の問題をしっかりと認識し、報道すべきです。一方的なイスラエル側の宣伝に与するイベントを自ら主催することは、報道機関としての役割放棄であると言わざるを得ません。

以上の認識にもとづき、私たちは日本経済新聞社に対して、10月17日の「日経ビジネスイノベーションフォーラム」の中止を求めます。あるいは、個人の尊厳を踏みにじり私たちを戦争の悲惨へと差し向けるものではない「サイバーセキュリティ」を考えるためのプログラムへの抜本的見直しを求めます。また、他のメディアも含め、多くの人権侵害や犯罪行為に加担するイスラエルの軍事・セキュリティ企業を無批判に宣伝する記事を今後掲載しないよう強く要請します。

2019年10月6日

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